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敷金返還・現状回復費用|渋谷の司法書士【星総合法務事務所】

賃借建物の競売と敷金返還

  • Posted by: shikikinhenkan
  • 2012年4月25日 16:14
  • 敷金返還

敷金返還債務は、借りている建物が競売になり所有者が変更した場合、新所有者に承継

されません。

これは、平成15年の民法改正により、短期賃貸借保護制度が廃止されたからです。

改正民法は、改正法の施行後に新たに締結された賃貸借契約から適用されますが、施行

から8年を過ぎていますので、賃借人のほとんどの方が改正法の適用を受けるものと思わ

れます。

賃借建物が競売によって所有者が変わった場合には、原則として6カ月以内に建物を明け

渡さなければなりません。

預けた敷金や保証金は、前の所有者から返還を受けることになりますが、前所有者には

敷金等を返還するだけの資力がないことが多いと思われます。

借りている建物が競売になったら、今後の対象法などをすぐに相談してください。

 

 

ペット禁止条項の有効性

建物の賃貸借契約書には、室内でのペット飼育を禁止する条項を明記するのが一般的

です。

裁判例では、このペット禁止条項の有効性を認めています。

裁判例には、ペット禁止条項があるのに家主には内緒にして犬や猫などのペットを飼育

していたケースで契約違反を理由に賃貸借契約を解除して家屋明渡請求を認めるものが

存在します。

また、ペット飼育を内緒にしたまま退去まで居住できたとしてもペットによる室内の汚損や

キズなどの原状回復義務についてはペット飼育が認められていた場合と比べて用法違反

がある分費用負担などの責任が重くなると思われます。

ですから、ペットと一緒に引っ越したいけど気に入った部屋がペット禁止。

そんなときは、内緒にせずに大家さんから許可をもらうよう交渉してください。

 

 

引越作業によるキズ

引越時には、たくさんの家財道具を搬出、搬入するため、作業中床などにキズをつけてしまう

ことがあります。

引越業者に依頼すれば、床にキズをつけるような作業はしないと思いますが、賃借人自身が

引越作業をする場合には特に注意が必要です。

引越作業の際、床などにキズをつけてしまうとそのほとんどが賃借人の善管注意義務違反

や過失に該当する場合が多いと思われますので、その場合には退出時の原状回復費用を

負担しなければなりません。

そのため、引越の際は、退去時の原状回復費用の負担について家主と争いが生じないよう

十分注意して作業してほしいものです。

 

賃貸借における原状回復

退去時の原状回復に関して、賃借人は原状回復をして明け渡しをしなければならない旨

契約書に記載されている場合、リフォーム費用のすべてが賃借人負担となるのでしょうか。

裁判例の多くは、賃借人の原状回復義務について、賃借人が賃借物を契約で定められた

使用方法に従って、社会通念上通常の使用方法で使用していた状態であれば使用開始時

の状態よりも悪くなっていたとしてもそのまま賃貸人に返せばよいとしています。

そのため、賃借人の故意や過失、通常ではない使用方法によって賃借物を破損等の損害を

発生させた場合には、損害賠償をする必要がありますが、経年変化や通常使用による汚れ

や損耗のみであれば、賃借人が原状回復費用を負担する必要がないのが原則です。

例外は、原状回復費用を賃借人が負担する旨の特約が有効な場合です。

 

 

原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

今年8月、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が改定されました。

このガイドラインは、経過年数の考え方に関して、従前から賃借人の負担割合について

建物や設備等の経過年数を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させるのが適当と

していました。

経過年数による減価割合について、従前は償却年数経過後の残存価値を10%となる

ように賃借人の負担を決定していたところ、償却期間経過後の残存価値を1円となる

よう改定がなされました。

これによって賃借年数が長い賃借人程、負担割合は減少することになります。

もっとも、賃借人が負担すべきなのは、毀損や損傷について賃借人に原状回復義務が

ある場合(故意又は過失がある場合)に限られます。

 

 

 

原状回復をめぐるトラブルの未然防止

トラブルには、原因があるものですが、原状回復をめぐるトラブルの場合、原因のひとつに

入居時や退去時における損耗等の有無など、物件の状況確認が十分になされていない

ことがあげられます。

入居の時点で退去後のことを想定するのは困難ですが、物件確認が十分になされない

まま退去した後、原状回復についてトラブルとなった場合、当事者の記憶だけがたよりと

なってしまいます。

トラブルを未然に防ぐためには、入居時と退去時に物件状況について当事者が立会のうえ

十分に確認することに加えて、具体的な損耗の箇所や程度など入居物件の状況を図面に

記録したり写真を活用するなどあらかじめ証拠を保全しておくのが賢明です。

 

 

ペットによる損傷

マンションなどの共同住宅では、ペットの飼育はまだ一般的ではありません。

また、躾の問題でもあるため、飼育ペットが柱等にキズをつけた場合には、通常使用を

超える損耗と判断され、原状回復費用は賃借人側の負担と判断されるケースが多いと

思われます。

ただし、ペット飼育を前提に賃料を設定している賃貸物件の場合は、ペットを飼育すれば

通常発生すると思われる傷については原状回復費用を家主負担とされる可能性もあると

思われます。

家主から原状回復費用の請求を受けたら、まず、見積書と損耗箇所とその程度を見比べて

請求額が妥当かどうか良く検討しましょう。

 

 

 

原状回復費用請求の相談事例

賃借マンションを退去後、室内の原状回復費用の請求を受けて困っている旨の相談が

増えています。

最近の事例では、5年9カ月居住した賃借マンションを退去後、家主から原状回復費用

の見積額から敷金等を差し引いた13万円程の請求を受けているというものでした。

お話を伺うと、その部屋は、窓が一つしかないため、入口を閉めるとほとんど風が通らない

部屋でした。そのため、室内は湿気がたまりやすく浴室内はもちろん部屋の壁紙のいたる

ところにもカビが発生している状態でした。

詳細は省きますが、この事例では依頼者が話し合いによる解決を強く希望したため、提訴

せず、原状回復費用のおよそ半分を負担することで家主側と和解となりました。

結果的に相談者には、敷金の半分弱が戻ったことになります。

原状回復費用の請求を受けて内容に疑問を感じたら、すぐに相談してください。

 

建物明渡の強制執行

賃料の滞納などで家主から賃貸借契約を解除されたにもかかわらず、借主が部屋を退去しない

でいると次は家主から建物明渡請求訴訟が提起されることになります。

この明渡訴訟で家主が勝訴判決を得ても、借主が部屋を出ていかない場合は、明渡しのための

強制執行の申立てをする必要が生じます。

もし強制執行の手続きをとらずに家主自身が借主の家財を搬出してしまうと、法は自力救済を

みとめていないため家主の行為は違法となります。

そのため家主は、明渡しの勝訴判決を得た後、明渡しを実現するため執行官に対して強制執行

の申立てを行わなければなりません。

ちなみに、申立ての必要書類は、執行文が付与された判決正本、確定証明書、賃借人への

送達証明書が必要です。

また、強制執行申立てに際しては、手数料と職務執行に要する費用の概算額を予納しなければ

なりません。

この予納金は、強制執行の申立人にとって少々負担となっているようです。

 

 

通常損耗補修特約について

賃貸マンションやアパートを退出後、賃借人に故意・過失がない通常の使用に伴う汚損や

損耗の補修についてまで、特約を根拠に家主から賃借人に対して補修費用を請求してくる

事例が見受けられます。

この建物賃貸借契約の通常損耗補修特約については、国土交通省が公表している「原状

回復をめぐるトラブルとガイドライン」と平成17年の最高裁判例が参考になります。

国交省ガイドラインと最高裁判例によれば、特約が有効とされるためには、「特約の必要性

があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること」、「賃借人が特約

によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて明確に認識してい

ること」、「賃借人が特約によって義務負担の意思表示をしていること」、「通常損耗の範囲

が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されていること」の要件を満たす必要があると

考えられます。

つまり、特約が要件を満たさない場合は、特約は無効、通常損耗は貸主の負担となります。

 

 

 

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